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木津川計の一人語り劇場「かぐや姫」 ~一人語り劇場&うたう会~ 終了

当日の報告をします

6月開催予定が変更となってのこの日の開催。「木津川計一人語り」を聴く魅力が勝り、まだ好転しないコロナ禍、何人きてくださるかとの不安を吹き飛ばす60名越えの参加。「うたごえ新聞」の各地催しもの案内の小さな記事を見てはるばる徳島からの参加者もありました。
そんな熱気の会場で「これから語る『かぐや姫』の原作は平安時代に書かれた『竹取物語』です。では、その『かぐや姫』の物語です。今は昔・・・」と静かに今回の「かぐや姫」一人語りは始まりました。
みんなよく知るはずの「かぐや姫」の物語とはいえ、「平安時代そんな古い原作だったのか」、「結婚の条件、えらい難題やったんやな」「何で月から来て帰ったんやろ」等々、そんな新たな発見や疑問を投げかけながら「富士山の名の由来も竹取物語だった」と45分かけて『竹取物語』古文の現代訳は語りつくされました。
一瞬の間。聴衆もこれで終わるはずはないと期待を膨らます中、その期待を裏切ることなく、一人語り劇場「かぐや姫」はここから始まったのでした。
『竹取物語』の二つの問題。一つは、かぐや姫は「罪を犯し、賤しき者のところ(地球)にくだされた」というが、その犯した罪とはどういうものだったかの解明。と、もう一つは月の国の天人は、人間と違う、どういう価値観をもっていたのか。この2点を解明すれば“月よりの使者”かぐや姫は何を伝えに地球にやってきたのか、その訳を理解することができる、との問題提起から、1200年解明されないままの「かぐや姫の犯した罪」の解明作業から始まる「木津川ワールド」にいよいよ突入したのでした。
特別な教育を受けたとは思えないかぐや姫の成長過程からしてなぜ熱心に思いを寄せた五人の貴公子に難題を与えることが出来たのか?このことからもかぐや姫は大変賢かったと察せられる。この賢さこそが罪に他ならなかった。
人間の世界では賢さが評価の基準であり、賢いことはいいことであるが、月の世界で大切なことは、賢さではなく、心が清らかですがすがしく、潔癖であることが価値観の基準、根底である。
なぜ賢いことが月の世界では罪なのか・・・(木津川計一人語りの魅力、深い洞察は続く)
月へのロマンを打ち砕いた「アポロ11号の月面着陸」また「ネス湖のネッシーがウナギ報道記事」を挙げ、科学、学術の発達、人間が賢くなった証が、人々が育んだロマンを崩壊させてきた・・・(エッ科学・学術否定するの?まさか)誤解禁物。反科学の立場ではなく、逆に学術の進展、科学の発展を切望している。いったい学術・科学の進展・発達は何のためにしなければならないか?
語りは続く「賢い人間が科学を発展させ、文明を築いたが、その果ての人類と地球の終末の危機を説き続けた地球物理学者スティーヴン・ホーキング博士」そして「賢さの、文明の果ての人類の終末、地球滅亡を回避する策はないのか」そのとき、グレタ・トゥーンベリーがたった一人で「気候のための学校ストライキ」を始め、一人のストライキが、いま世界の人たちの共感を集め、世界を動かしている。
世界中のこどもを立ち上がらせ、気候変動の対策を大人社会に要求するグレタこそ、現代のかぐや姫の化身。そして「パリ協定」グリーンランドの氷床が溶けている現状、海面上昇・都市水没の危険度、二酸化炭素排出量削減の緊急性に触れ、「見通しはけっして楽観できるものではない。が、何もせず死を待つ訳にはいかない。
77億もの人が月へ移住するなどは不可能。やはり人間の英知と行動で地球的・全人類的困難を解決するしかない・・・賢さという罪で招いた結果を、賢さで解決する、罪である賢さを総動員して終局をくいとめるのです。
かぐや姫は人間が手をこまねいていたら地球は滅びるかもしれない。その破局をくいとめるためにしなければならないことがあることを促すために地球にやってきた。」と一人語りは続き、「かぐや姫は人間の賢さの罪深さを教えてくれ、その化身であるグレタは大人社会の利益本位なふるまいの罪深さを鋭く批判した。グレタに続かなければならない。
人間の賢さが人類の破滅をもたらすのではなく、人々の幸せと生態系の安全のために英知は働かなければならない。」との言葉で幕が下りたのでした。
おお!今回もまたなんと奥深い展開であろうか。そして、「今やるべきこと」の強いメセージであろうか!!
前回の万葉のSF「浦島太郎」に続き、宇宙に馳せられるより深遠なテーマ「かぐや姫」の物語から何を学び、今日に生かしたらよいか?
多くの参加があったとはいえ、コロナで参加を躊躇された方も多かった。早く落ち着いて多くの方に浸っていただきたいものです(ここでは感動をどうしてもうまくお伝えできなくてゴメンナサイ。是非、生「一人語り」お聴きくださいますようお願いいたします)。これからも「木津川ワールド」体感したいですね!!
なお、コロナ禍にあって感染対策を講じているとはいえ「&うたう会」は残念ながら、中止となりました。         (事業普及部)

延期のお知らせ

6月6日(日)に予定しておりました、本公演は、木津川計氏が体調不良の為9月12日(日)15:30〜に変更となりましたのでお知らせいたします。尚、現在お持ちのチケットにつきましては延期日の9月12日に使用可となっておりますので、お持ちくださいますようお願い申し上げます。

木津川 計 プロフィール

1935年生まれ。大阪市立大学文学部卒業。
1968年に自ら創刊し、編集長を務めた雑誌『上方芸能』は、能・狂言・歌舞伎・文楽・舞踊から落語・漫才にいたるまで、京阪神のすぐれた芸能や大阪文化を守り、応援し、幅広く紹介、論評する専門誌として45年の歴史を持つ。
1986年 立命館大学教授に就任、2006年定年退職。他に民放連盟賞中央審査委員長(2004、2005年度エンターテイメント部門)、文化庁芸術祭賞選考委員、文化庁国際芸術交流支援事業審査委員会副主査、芸術選奨文部科学大臣賞選考委員会主査、和歌山大学客員教授ほかを歴任。
現在は、『上方芸能』発行人、兵庫県川西市生涯学習短期大学学長などを務める。NHKラジオ(関西エリア)で「ラジオエッセイ」を毎週1回レギュラーで担当して32年目、“木津川節”といわれる大阪弁のやわらかい語りにファンも多い。
また、2006年から「木津川計の一人語り劇場」を旗揚げ、新国劇の「瞼の母」「一本刀土俵入」「王将」や新派の「金色夜叉」「婦系図」、大衆演劇の「父帰る」、映画の名作「無法松の一生」、落語を咄して「語る落語」、2013年からは歌舞伎の語りで「『曽根崎心中』以後」などで各地を口演して好評。

■著書
『人間と文化』(岩波書店)
『<趣味>の社会学』(日本経済新聞社)
『上方の笑い』(講談社現代新書)
『上方芸能と文化』(NHKライブラリー)
『都市格と文化』(自治体研究社)
『人生としての川柳』(角川学芸ブックス)
『朗読・語り文化の地平』(『上方芸能』出版センター )
『ことばの身づくろい』(『上方芸能』出版センター)

■受賞歴
京都市芸術功労賞、京都新聞文化賞、第46回菊池寛賞(1998年12月)、全国日本学士会アカデミア賞(2013年2月)などを受賞。

一人語り劇場とは何か 木津川 計

「一人語り劇場」を始めて十四年目に入りました。一人で芝居の何役をも語り分けるのです。実際、演じると「一人芝居」ですが、私は演技ができませんから「一人語り」なのです。
芝居通りに登場人物の台詞を語るだけなら、その芝居を観た方がいいに決まっています。「一人語り劇場」という形式の、いまのところ日本で唯一の語り手である私は、その芝居の時代背景や劇作家や登場人物などを独自に解釈して、ストーリーの間で語るのです。
一作目の新国劇「瞼の母」と「一本刀土俵入り」は劇作家の長谷川伸と、ヒーロー像の違いを語りました。即ち、平和な時代にはこころ優しいヒーローが、戦争の時代にはこころ猛々しいヒーローにとって代わられる事を説明したのです。二年目の新派劇「金色夜叉」と「婦系図」では、明治以降の金権主義と女性を犠牲にして男性が偉くなる男性本位の立身出世主義、その裏面を創りだしました。三年目の新国劇「王将」では、不世出の棋士・阪田三吉がなぜ1960年にフィーバーしたのかを論じたのです。
10年「無法松の一生」は、戦争と検閲、“無法松”が未亡人に捧げる慕情の美しさと切なさが主題です。「語る落語」では、なぜ落語に女のアホがいないその理由を明らかにしながら落語が何を笑い、笑っていないのか。庶民の生活や願いや発想、人間の心理を描く面白さを語りました。「曽根崎心中」では天下のご政道に逆らった心中の教える無惨な事実が文学とは何か、その本質を明らかにしました。

一人語り劇場&うたう会 木津川計の一人語り劇場「かぐや姫」

  • 日時:2021年9月12日(日)15:00開場 15:30開演
  • 場所:こうべ輪太鼓センター会館内「芦笑亭」
  • 参加費:2,000円(当日 300円増し ビール又はソフトドリンク付)

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このイベントは終了いたしました。
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